2017/04/28

【奨学金】アジア学院修了生に対する調査研究報告会に参加して

JELAが毎年、その研修生に奨学金を提供しているアジア学院(ARI=Asian Rural Institute。在栃木県)は、アジア、アフリカ等の開発途上国から研修生を募り、9か月かけて有機農法や、奉仕者としてのリーダーシップ(サーバント・リーダーシップ)を実践的に教えています。

ARIは2013年に創立40周年を迎え、記念事業の一環として、修了生を対象にARI教育の意義に関する調査を実施しました。今月20日に、その報告会が上智大学で行われ、JELAシニア・アドバイザーのローウェル・グリテベックと職員の下川正人が出席しました。

以下は、上記報告会の内容やJELAとARIの協力関係について、グリテベックがまとめたものです。(原文の英語をJELA事務局が和訳)

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2015年にJELA奨学金を受給した
ミャンマー出身のメアリーさん(右)
JELAとARIのパートナーシップは2003年に始まり、ARI最初のJELA奨学生は、インドネシアの青年でした。以来、JELAは毎年1、2名、これまで19名のARI研修生を支援してきました。その出身国はインドネシア、インド、カンボジア、ミャンマー、マラウィ、カメルーン、ブラジルの7か国です。

4月20日に下川職員と私は、ARIと上智大学比較文化研究所が共催する、ARI修了生を対象とした調査研究の報告会に出席しました。私たちを含めて数十人の出席者がいました。調査に携わったベブ・アブマ氏とスティーブン・カッティング氏、またARI校長の荒川朋子氏がパネリストとして登壇し、修了生の帰国後の働きについて調査した内容を報告しました。

調査は229人の修了生にインタビュー形式で行われました。母国に戻った後、JELA奨学生を含むすべての修了生が自分のコミュニティに大きな影響を与えてきた、ということです。特に、有機農業の導入や、草の根レベルでの男女平等の能力開発といった分野で、大きな成果が確認されました。

修了証書を受け取る2016年度奨学生
マクドナルド・バンダさん(左)
修了生たちは、社会への啓発活動や弱者の権利擁護の分野においても、農村に好影響を及ぼす政策の実現に寄与したり、人種・宗教の異なる人々の融和を促進したりと、重要な役割を担ってきたことが明らかになりました。

この調査研究の重要な目的は、研修生の出身地の貧しい農民たちが、世界の国々が相互に関係する現状や、技術革新によってもたらされる問題に立ち向かっていけるよう、ARIの研修プログラムをいかに改善すべきかというものですが、三人のパネリストと会場の間で活発に意見が交わされました

ARIは創立から40年を迎え、今なお新たなエネルギーによって課題に取り組み、使命を果たし続けています。「共に生きるために」という同学院のビジョンは揺らぐことはないのです。

ARIやそこで研修を受けた農村リーダーたちと共に歩めることは、JELAの誇りであり誉れです。ARIは、コミュニティを変革し、アジアや世界の最も貧しい人々の生活を改善するというミッションを共有する、JELAの重要なパートナーです。

 (JELAシニア・アドバイザー ローウェル・グリテベック)

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