2016/03/04

【難民支援】新難民高等弁務官グランディ氏の講演会に出席しました


UNHCRホームページより
今年1月に第11代国連難民高等弁務官に就任したフィリッポ・グランディ氏がこのたび初めて来日し、32日に衆議院第一議員会館にて講演会を行いました。以下は、それに出席したJELAの難民支援担当職員・下川正人によるレポートです。
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会場となった国際会議室では、NGO職員、超党派の国会議員、関連省庁の職員など、様々な立場で難民政策・支援に携わる関係者が一堂に会し、新弁務官のレクチャーに耳を傾けました。

グランディ氏は昨今の難民危機の複雑性に触れ、シリア難民の大規模な流出が、他国(特に中東諸国)での難民発生を誘発している可能性を指摘しました。トルコからギリシャへ向かう難民のうち、シリア出身はその半分で、もう半分はアフガニスタンやイラクなど、シリア内戦よりも先に起こった紛争によって苦しむ人々が含まれる、という統計に言及し、シリア難民の増加に伴ってこれらの国からの難民も増えている、という分析を示しました。

日本の果たすべき役割については、「日本とシリアは離れているから支援が難しい、と言う人がいるが、世界中の国や人が相互に繋がっている現代で、本当に日本はシリアから遠い国だろうか」という問題提起を行いました。その上で、2011年の東日本大震災の際に地震・津波のニュースに接したパレスチナ・ガザ地区の人々が強く心を痛めた事実に言及し、「自国のことで精一杯であるはずの人々がこのような反応を示した、ということは、この地域の人々に対する日本という存在の近さを表すものだ」と述べ、日本社会のさらなる協力を呼びかけました。
下川正人
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JELAは難民支援事業の一環として、他の難民支援NGOと連携し懇談会や連絡会議に関わっています。上述の講演会の前日にはグランディ弁務官と国内NGOの会合が開かれ、JELAも加盟する難民支援団体のネットワーク組織「なんみんフォーラム(FRJ」が、国内の難民・難民申請者を取り巻く現状や問題点を報告しました。

今後もJELAは、日本や世界の難民保護につながる取り組みに積極的に参画・協力してまいりますので、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。