2015/12/21

クリスマスを前にして(本のはなし)

JELA事務局長の森川博己です。この一年、支援者の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございます。以下に何冊かの本について個人的な思いを記します。お読みいただければ幸いです。


ここ数年、12月が近づくと、その年に読んだ本の中で印象深くて読みやすいと思われる一冊を選んでまとめ買い(最近の流行語では「爆買い」)し、知人・友人にプレゼントしています。

2014年では『赤毛のアンの幸せになる言葉~人生が輝く生き方~』(松本侑子著、主婦と生活社)が心に響きました。アンの世界に私の心を啓いてくれた一冊です。著者が訳した『赤毛のアン』(集英社文庫)にも目を通したところ、そこには市井の人々の滋味深い日常と型破りな少女アンの心の成長が瑞々しい筆致でつづられていました。

宮本輝さんは私の大好きな作家の一人です。彼は毎年、同じ三冊の本を読み返すらしいのですが、その中の一冊がなんと『赤毛のアン』全10巻(村岡花子訳、新潮文庫)だそうで、嬉しくもあり納得させられる事実です。

さて、今年爆買いした本は、『祈るように生きる~マザー・テレサと共に~』(片柳弘史著、ドン・ボスコ社)です。170頁足らずと薄いのに中身の濃いこと。「聞く・話す・見る・ほほ笑む・泣く・呼吸する・食べる・歩く・着る・持つ・掃除する・育てる・働く・休む」という十四の所作を祈りとの関連でとらえ、わかりやすい例を示しつつやさしい表現で書かれています。ラジオで放送された内容を下敷きにしてあるのが読みやすい理由かもしれません、

著者は四十代のカトリック司祭。1994~95年にコルカタのマザー・テレサのもとで奉仕活動をしています。祈りを日常生活にどのように活かすか悩んでおられる方には最適の一冊のような気がします。

たとえば「聞く」という章では、「ドアを閉める音、あなたを必要としている誰か、鳥たちのさえずり、美しい花々、野山の動物たちを通してさえ、神は私たちに語りかけています。」というマザーの言葉を引用した後、著書は次のように筆を進めます。

― 夜、部屋で静かに読書しているときに、どこかから「バタン」とドアを荒々しく閉
める音が聞こえたとき、わたしたちはどう思うでしょうか。もしかすると、「うるさいな」
と思って腹が立つかもしれません。そう感じるとき、ドアの音はわたしたちにとって、
静かな憩いのひとときを破る邪魔な音でしかないでしょう。
しかし、そのドアの音からわたしたちは別の響きを感じ取ることもできます。もしかす
ると、くたくたに疲れて帰ってきたお父さんが、うっかり大きな音を立てたのかもしれ
ません。何か嫌な思いをした子どもが、腹立ちまぎれにドアを閉めたのかもしれません。
そうだとすれば、そのドアの音は確かなイメージです。誰かが、わたしたちに助けを求
めているのです。その音がわたしたちの耳に届いたのは、神がわたしたちを呼んでいる
しるしなのです。すぐその場に駆けつけることはできなかったとしても、そのドアを閉
めた誰かのために祈ることはできるでしょう。(後略)


長々と書いてしまいました。お読みくださりありがとうございます。

お一人お一人のクリスマスが、神様の祝福に満ちた豊かなときでありますように!

JELA事務局長
森川博己